八甲田 ― スノーボーダーの楽園

スノーボード、テレマーカー、そしてスキーに情熱を注ぐ人達にとって八 甲田は、日本中で一番滑りたい場所として知られている山です。急な傾斜と、深 いパウダースノーに恵まれたコースを持つ程の山は、他に類をみないと言っても 他言ではないでしょう。

一日中スノーボードを満喫した後でさえ、まだ誰も踏み いれていないパウダースノーが残って在るということが信じられますか。

(地理)

日本語の漢字、ď八甲田Ēから見てもわかるように、一番始めの漢字は8で す。八甲田は8つの山から成り、クロスカントリーが楽しめる広大な未開地が広 がる心臓部ともいえる所です。一番高い山は、大岳山(1584m)で、 7kmー10kmの長いコースがあります。これを制覇するには、半日以上かか ります。

小さいリフトが山裾にありますが、だからといって八甲田が初心者向けと いう訳ではありません。傾斜がとても急な所もあるのです。100人が乗れるゴン ドラは、朝9時に稼動を始め、田茂やち岳(1324m)の頂上まで毎10ー 20分間隔で動いており、頂上までは 10分で到着します。週末や祭日はとても混雑し、特に春の期間はピーク時とな るので、混雑をさけるには2月くらいが一番よい時期でしょう。

パウダースノーを満喫するには、正規のコース共に朝早く滑りはじめるこ とが肝心です。ゴンドラの頂上からは2つの正規コース、ダイレクトと森林コー スがあります。それらは、オレンジ色のポールで10メートル間隔に立てられ、 また幾つかのフェンスが目印として備え付けられています。 圧雪斜面コースは ありません。吹雪いているときは、これらのサインでさえも見えにくくなりこと もあります。

(コース)

多くの人が八甲田を訪れますが、ダイレクトとフォレストコースを滑った 後は決まってĒ別にたいしたことないね、、、。Ēとのコメントが聞かれます。し かし彼らが知らないのは、どこを滑ればいいかという事なのです。ゴンドラの左 から右へ360度見回すと、幾つかの正規以外のコースがあります。ダイレクト、イ ンダイレクト、ゴンドラ下、モッコ沢、変則モッコ沢、Y沢、林間、フォレス ト、東斜面、北斜面、偽田茂やち、宮様、中央、寒水沢、かもしか、そしてダイ レクトに戻ります。(いつくかのコースは私が名付けました。)

前嶽(1251m)からは、百番と銅像ルート、特に銅像は冬期間中を通 して(雪の深さによりますが)利用できるルートで、山頂からすり鉢上になった ような特色があります。

赤倉(1551m)からは、八甲田温泉ルートと、いく つかのバリエーションを楽しめる元湯ルートがあります。その他にも、7kmの 箒場岱ルートがあり、通常は春だけですが私が一度一月中に滑ったときは、普通 ではみられない完璧な積雪状態でした。また、爆裂斜面というのがあって、八甲 田では一番急な斜面です。このコースは春しか滑れません。というのは、とても 危険なため春期間の完璧なコンディション時しか滑れません。井戸岳からは、箒 場岱ルートに入ることも可能ですし、大岳ヒュッテ、大岳頂上、又は小岳からも 入れます。

ロープウェイの運行が終了する5月始め、滑る場所は登山が必要な傘松峠 (1040m)に移動します。傘松峠は、ゴンドラの南から車で15分、又はす いれん沼から硫黄岳の頂上まで、大岳、小岳、又は、高田大岳の範囲に広がって います。すいれん沼の道路を隔てた向こう側には、ジャンプをするのに絶好の場 所があります。春には高田大岳を登ると、谷地温泉から広い急斜面が滑れます。 山登りが苦手な人には薦められませんが、努力して登る価値のある場所です。

(警告)

ガイドや地元の人の案内なしでは、正規ルート意外には入らないでくださ い。また、多くのルートはその年の積雪程度によって制限されます。毎年遭難す る人もあり、これまで何人かの死亡者も出ました。一月には、23才のオースト ラリア女性が行方不明になり、一晩雪山の中で過ごしました。彼女はダイレクト コースからすこし左にはずれて入っていってしまったのです。

(必需品)

たぶんバックパックだけで大丈夫ですが、田茂やち岳の不正規ルートに入 るなら、雪山用の靴と伸縮性ストックが必要です。もし、その他のコースに入る つもりなら、十分な準備が必要でしょう。予備の暖かい服、緊急用の雪山用毛 布、暖かいものが入った水筒、食べ物、笛、コンパス、地図、トランシーバーラ ジオ、(日本でとるアマチュア無線の資格は、そんなに難しくありません。) ビーコン、ゾンデ、シャベル。携帯電話が山中でいつも通じるとは限りません が、持参してもいいでしょう。事前、山登りの最中、そして後に十分な水分補給 をする事はとても重要です。

ゴーグルは霞むので、サングラスのほうが山登りには適しています。も し、宿泊するホテルや温泉旅館が送迎をしてくれるなら、車の置き場所の手配を しておく事も大事です。田茂やち岳の不正規コースは、最終的にゴンドラの場所 に帰るようになっているので、車の手配はいらないでしょう。4月末から5月始 めの週末や祭日は、本数が多くはありませんがバスも通っています。カメラを忘 れないでください。雪山の風景は、息を呑むほどの美しさなのですから。

(予期せぬ出来事)

予期せぬ出来事が在るかもしれないということを、いつも心に留めておい てください。山の気候は、予期できません。特に山登りをしている時、いくら天 気の良い日でも警告なしに、急に視界がなくなるほどの気候に急変することもあ ります。コースの外には、木々の間を滑り抜けなければならないような沢山の難 しいルートがあります。万が一の場合は、ぶつかるより転んだほうが身の為です。

谷間付近では、絶対にスノーボードやスキーをしないでください。冬場 は、深い雪の中に埋もれてしまいかねません。春は雪が薄くなるため、もしその 上を滑ったら氷のように冷たい沢の水にはまってしまうでしょう。もし出られた としても、山を降りる迄には凍傷(低体温状態)にかかってしまいます。

(とっておきの話)

リフト下の八甲田山荘のランチメニューは、とてもGoodです。(春の 朝に滑った後、バルコニーで飲む生ビールはまた格別です。) ゴンドラ近くの ホテルでは、ガイドツアーをやっていますが、英語はありません。

混雑する時期、とくに週末や祭日はボードをする時間より、歩いたり長い 列で待つことのほうが長くなることもあります。小さな個人のツアーガイドと いっしょに周ることをお薦めします。もしあなたが、上級のスキーヤーや、又は スノーボーダーではないとしても、八甲田はいつも何かを与えてくれます。

もし正規コースだけを滑っているのなら、以上に述べた余分な道具はいり ません。雪がすごい日は、パウダースノーを満喫できるでしょう。また、八甲田 に戻ってくるか、またはリピーターになって山の知識が増えたとしても、毎回新 しい発見があります。そしてそれは、あなたがどれだけ冒険を求めているかによ るのです。See you in the POW. (パウダースノーの上でお会いしましょう。)

(筆者)

アメリカ人、サイモン ベルナルドは、これまで青森県に22年間在住。英語、日本語、ドイツ語を話す事ができます。20年前スキーからスノーボードに転向。地域の町役場に勤め、地域の観光やイベントのプロモート促進に携わる。前シーズンは、年間と通して100日間以上スノーボードをしながら八甲田の観光業務促進に従事。八甲田に関する質問、ガイドが必要な方は、E-mail:  bernard@infoaomori.ne.jp 迄。